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学校の快談

休日の朝、電車の中で私はいつもの様にイヤホンをして音楽を聞いていました。

次は何の曲にしようかなと迷っていると、

母と子の会話が聞こえてきました…





その男の子は、車窓に広がる風景を

楽しそうに眺めながら、

お墓の近くにある学校を見て

「あの学校、おばけでそう!こわいよね!」

男の子の言葉に母は「そうだね」とうなずきながらも...

 

 母「でも、なんで怖いと思うの?」 


 子「おはかって、おばけいそうじゃん」


 母「じゃあ、そのおばけってなんだろ?」

 

 子「しんだひとかな?」


 母「かもしれないね。

   でも、この前しんじゃった、

   お母さんのお父さん。おじいちゃんも

   お墓に眠ってるんだよ。

   おじいちゃんが眠ってるお墓

   怖いって言われたらどう思う?」


 子「いやだとおもう」

 

お母さんは微笑み、

まっすぐ男の子の目を見ながら


 母「そうだよね。

   怖いと思うのも自然なことだけど、

   人によっては大切な場所ってのは

   覚えてて欲しいな、わかった?」 


 子「うん!」


偶然聞こえてきた会話でしたが

その中に温かさと深いメッセージが

詰まっていました。



私たちは普段、自分の経験から物事を判断してしまいます。

しかし、それは勝手に思い込んでいるだけではないでしょうか?

考え方次第で、そこは怖い場所にも、大切な場所にもなります。


私の生まれ育ったお寺は、周りをお墓に囲まれています。

しかし、怖いと思ったことは一度もありません。

それは、幼いころから

沢山の人が手を合わせお参りするのを

見ていたからなのかもしれません。



お母さんは男の子の不安や怖れを理解しながらも、大切にする思いや人々への尊重も忘れないで欲しいと教えていたのでしょう。


駅に到着した電車を、何事もなかったかのように降りる二人の背中を見送り、

私もこのお母さんのような人になりたい

と背筋が正されました。


日常の些細な瞬間にこそ

大切なことが詰まっているんだと感じた、

休日の朝でした。

                                    御木賢成

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