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か、かわいい
あれは、昨年の冬のことです。 吐く息が白く染まり 境内の木々の葉もすっかり落ちて 寒々とした風が吹き抜けていました。 富士の山にも白く雪が積もる そんなある日 私が生まれ育った静岡の寺の境内に 凍えた一匹の野良猫が ひょっこりと姿を現しました。 私がそっと近づくと、 逃げるどころか自ら歩み寄り、 ためらうことなく 私の膝に飛び乗ってきたのです。 そして、そのまま丸くなり、 まるで昔から そこが自分の定位置であったかのように、 安心しきった様子で喉を鳴らしました。 ──── か、かわいい そこで撫でてみると、 毛の下から骨ばった感触が伝わってきます。 痩せてはいるけれど、 その小さな体は確かに温かく、 生きているという力を感じさせました。 その温もりを抱えながら、 私はふと考え込みました。 この猫は たまたま通りかかっただけではないか。 とはいえ、この人懐こさは 誰かの飼い猫なのではないか。 優しくしなければきっと どこかへまた去っていくのではないだろうか。 生き物のありように安易に手を加えてよいのか。 しかし、凍えていた小さな命が 今、私の腕の中

Shojin-Project
1 日前


子どもたちの輝き
大人になって、 気がつけば世界がつまらなくなっていた。 園庭を駆け回る園児たちを見てはっとする。 その目には、 もう今の私にはない輝きに満ち溢れていた。                                    私たちShojin-Projectは、 9月にいくつかのこども園を訪れて オリジナルの演劇を上演しました。 今年のテーマは「食育」で、 食材のいのちと、食事を支えてくれる人びとへの 感謝の気持ちを持ってもらうために 「いただきます」の意味を伝える劇を作りました。   実際に上演してみると、 子どもたちのエネルギーに圧倒されます。 舞台上の出来事に全神経を注ぎ、 一生懸命反応を示してくれます。 目の前のことに夢中だからこそ 生まれる素直さと力強さ。 そのキラキラした目に助けられて 練習以上の演技が引き出されることもあります。 面白いことに、同じ劇を上演しているはずなのに、 子どもたちの不思議な力が加わって 公演ごとに違った色が現れたのでした。   劇が終わり、一緒に遊ぶ時間になると 園児たちは小さな身体を懸命に動かします。 転ぶ

Shojin-Project
10月14日


永遠の一瞬
先日、東京都内で行われた模型のイベントに参加した。 首都圏に住んでいないと 東京で行われるイベントに行くことは難しい。 地方出身の私は「今こそ参加するときだ」 と思い切って参加してみた。 結果としては、イベントはとても楽しくて 充実した時間を過ごすことができた。...

Shojin-Project
9月30日


みかんに教えられた
先日、冷蔵庫の中を 掃除していたときのことです。 奥のほうから、ずいぶん前に買ったまま 忘れていたみかんが出てきました。 買った当初は、張りのある きれいな実をしていたのに、 すっかりぶよぶよになり、 皮の表面も黒ずみ、 手に取るのもためらうような状態でした。...

Shojin-Project
8月24日


茜色の送り火
7月13日から15日 東京都内ではお盆を迎えた地域もありました。 正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言います。 私が生まれ育ったお寺のある地域は 8月にお盆を迎えます。   毎年お盆には「棚経(たなぎょう)」といって、 お檀家さんのお宅を一軒ずつ回り...

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7月26日


撮れなかった一枚
見知らぬ土地の空気に触れることは、 時に日常で凝り固まった頭を 柔らかく解きほぐしてくれます。 その日は、那覇の「波の上ビーチ」で、 人々の賑わいから少し離れた浜辺を 歩いていました。 足元に目をやると、 岩場のくぼみに 潮が引く際に取り残されたのであろう、...

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7月5日


「家蜘蛛」
部屋に蜘蛛が出た。
 家によく出る小さい蜘蛛だ。

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6月28日


「雲の上には、いつも青空がある」
まだ冬の名残を感じる早朝、 私は羽田空港に向かっていました。 これから、 久しぶりの旅行に出かけるところです。 しかし、東京の天気は激しい雨でした。 空港に向かうのを少し億劫に感じながら、 なんとか到着しました。 待ちに待った旅行のはずなのに、 どんよりとした空模様のせいか...

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5月24日


「ほんとうの私?」
先日、昼下がりの公園でベンチに 腰を下ろしていると、 ふと足元で小さな動きがありました。 目をやると、いつの間にか 5、6羽のスズメが集まっていたのです。 スズメたちは、私の足先のすぐ近くで 木の実をついばんでいました。 驚くほどの近さ。...

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5月10日


「この命に、ありがとう」
4月8日は「花まつり」 お釈迦さまのお誕生を お祝いする日です。 多くの寺院では、 花で飾られた花御堂に 小さなお釈迦さまの像を おまつりし、甘茶をそそいで お祝いします。 「天上天下 唯我独尊」 (てんじょうてんげ                ゆいがどくそん)...

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4月26日


正しい道に向かって歩く
先日、とある海沿いの山に行ってきました。 目的はレジャーではなく、自分自身に向き合うための「修行」です。 明け方の寒さの中、案内をして下さる地元の方の後について、山道を全力で駆け抜けていきます。 日頃の運動不足がたたり、あっという間に呼吸は乱れ、体中が痛み始めます。...

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2024年3月1日


学校の快談
休日の朝、電車の中で私はいつもの様にイヤホンをして音楽を聞いていました。 次は何の曲にしようかなと迷っていると、 母と子の会話が聞こえてきました… その男の子は、車窓に広がる風景を 楽しそうに眺めながら、 お墓の近くにある学校を見て 「あの学校、おばけでそう!こわいよね!」...

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2024年2月9日


新年の抱負
新しい年を迎えました。 昨年は春から9年ぶりの東京での一人暮らしを始め、様々な挑戦をした年でした。 弓道を始めたり、料理教室に通い始めたり、カメラを買って写真を撮りに散歩に出かけたりと、興味のあることをとにかくやってみるという姿勢で一年を過ごしました。...

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2024年1月19日


バラと掃除と
月日の移り変わりは早いもので、気がつけばもう12月も半ばです。あわただしく過ぎ去る日々の中では、時折ゆっくりと季節を感じたくなります。 11月の初旬は、秋バラを見に行ってきました。訪問させていただいたのは、東京都北区にある旧古河庭園(きゅうふるかわていえん)です。...

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2023年12月15日


「幸せになりますように」
みなさんこんにちは!
Shojin-Projectの大俊(だいしゅん)です。
先日、「京都お寺めぐりの旅」をしてきました!
感覚を言葉にする難しさに悩みます。
お坊さんだって、いや、お坊さんだからこそ悩むのです。(笑)
色々と感じながら読んでいただけると嬉しいです!

Shojin-Project
2023年11月24日


劇団「Shojin‐Project」
Shojinproject 皆さんこんにちは!Shojin-Projectの宏淳(こうじゅん)です。 今回は、Shojin-Projectのメンバーで、愛知県の幼稚園・保育園に伺い、演劇を上演してきました。 曹洞宗総合研究センター教化研修部門では、子どもたちと楽しみながら仏...

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2023年10月13日


合掌は共通言語🙏
みなさんは海外から日本にやって来て、仏道修行をしている外国人がいることを知っていますか?普段見かけることが少ないので、英語などの外国語を話す僧侶というのはイメージしにくいでしょうか。今回の「禅僧小噺」では、私が外国人修行僧の姿から学んだことをお話しします。...

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2023年8月6日


伝光会摂心
皆さんこんにちは!Shojin-Projectの秀憲です。 先日、数名のShojin-Projectメンバーと一緒に、神奈川県横浜市鶴見区にある、大本山總持寺の「伝光会摂心(でんこうえせっしん)」に参加してきました! 大本山總持寺 大祖堂(だいそどう)前にて...

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2023年6月23日


コロナ禍を経ておもうこと
こんにちは Shojin-Projectの敞英です。 5月も半分がすぎ、新緑が美しい季節になってきました。 私はG.W.中、福岡県北九州市にお邪魔して、友人の結婚披露宴に行ってきました! 【写真:福岡県北九州市小倉駅周辺の眺め】...

Shojin-Project
2023年5月19日


妖怪家族旅行
先日、家族で鳥取県へ旅行に行ってきました!今回の旅行にはテーマを設けておりました。アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」が大好きな甥っ子のハルくんの影響で、家族に空前の妖怪ブームが到来しているのです。そこで水木しげる先生の故郷である鳥取県境港市にて、そのルーツを探索することにしました。...

Shojin-Project
2023年4月7日
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