劇団「Shojin‐Project」
- Shojin-Project
- 2023年10月13日
- 読了時間: 4分
Shojinproject
皆さんこんにちは!Shojin-Projectの宏淳(こうじゅん)です。
今回は、Shojin-Projectのメンバーで、愛知県の幼稚園・保育園に伺い、演劇を上演してきました。
曹洞宗総合研究センター教化研修部門では、子どもたちと楽しみながら仏教の教えを伝える活動を行っており、その一環として、各地の幼稚園、保育園を訪問し、非営利で演劇を披露しています。台本をはじめ、役者、ナレーター、音響、衣装や小道具作製等々、すべてを自分たちで準備し、子どもたちに仏教の教えを伝えるすべを模索しています。
今回、演劇で伝えたいテーマは「利他行(りたぎょう)」。
「自分の目先の利益よりも、相手(他)のためになる行いをする」という教えです。
この度上演した演劇は『どうぞのホットケーキ』と題し、私が演じた主人公のこうた君が、動物たちを助けていくなかで、この教えが伝わるように工夫して作られました。
簡単にストーリーをご紹介しますので、皆さんも想像してみてください!
主人公こうた君は、おじいちゃんのためにホットケーキを持って行ってあげることにしました。こうた君が森の中を歩いていると、お腹をすかせたうさぎさん、とりさん、くまさんに出会いました。
みんなを放っておけなかったこうた君はホットケーキを分けてあげました。
ところが、おじいちゃんにプレゼントするホットケーキがでこぼこになってしまい、すっかり元気をなくしたこうた君。
そこにおじいちゃんがやってきました。
話を聞いたおじいちゃんは
「ホットケーキがでこぼこでも、気にしないぞ。それよりも、困っている相手を助けてあげる『どうぞの気持ち』を持っていることがうれしいのう!」
とこうた君を褒めました。
するとそこに、さっき助けてもらったお礼にと、果物、お花、クリームを持った動物たちがやってきました。みんなでホットケーキをかざりつけて、おじいちゃんにプレゼントします。
みんなの『どうぞの気持ち』がたくさんつまったホットケーキをもらったおじいちゃんは、とっても喜びました。

初めは、台本片手にセリフを棒読みしていた私たち。
しかし、毎日練習を重ねるごとに表現力が増し、自分自身が物語の中に溶け込んでいくのが実感できました。改善に改善を重ね、元の台本から良い方向に大きく変わりました。
そして迎えた本番当日の上演前。
会場いっぱいに、にぎやかな声が広がります。
舞台幕の隙間から観客席を覗いてみると、きらきらと目を輝かせて楽しみに待っている園児の皆さんの顔が見えて、緊張がほぐれました。
演劇内では、コール&レスポンスの場面もあり、園児の皆さんは元気よく挨拶をしたり返事をしてくれます。
どんな返事が来るのかは、事前にある程度は予想をして練習をしてきました。例えば、
「くまさんに分けてあげると、ホットケーキがもっと小さくなっちゃうよ。どうしたらいいかな?」
という問いに対して、
「小さくなってしまっても分けてあげる」
という回答を想定していました。
しかし、実際に返ってきたのは、
「バターをあげる」「もう1個作ればいいじゃん」
などと、予想を上回る返事が多く、主人公役の私は返事に戸惑うこともありました(笑)
子どもたちの発想力には特別なものがあると感じました。
主人公役に選ばれたときは、正直不安でいっぱいでしたが、
ニコニコしている園児の皆さんのおかげで、いつも以上に気持ちが入り、とても楽しく役を演じることができました。
私たち演者は、楽しんでもらいたいという「どうぞの気持ち」をもって訪問させてもらいました。その気持ちが、園児の皆さんに伝わって「どうぞの気持ち」がうまれ、「笑顔」という形で私たちに届いたのでした。
子どもたちはとても素直で、私たち大人も見習わないといけない部分もあるなと思います。
問いかけに対して「はーい!」と元気に仏様のような笑顔で返事をする園児の皆さん。
私も子どもたちのように、清く明るい心をもって、日々の仏道修行に励みます。
園児の皆さんの迷いのない表情を見て、そんなことを感じたのでした。
関係者の皆様、今回はとても貴重な体験をさせていただきありがとうございました!
天野宏淳 合掌
Comments