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たんぽぽの布施

先日、母に聞いた話があります。それは私の兄の小学校1年生の時の話です。

 下校時間に近所の人が私の家に来て、


「これあんだんちの教科書だすっぺ?(これあなたの息子の教科書でしょ?)」


と道路に落ちていた教科書を拾って、母に届けてくれました。母は兄の身に何かあったのではないかと心配になり、急いで探しに行くと、家に向かって歩いている兄がいました。母はなんで教科書を落としたの聞くと、兄はおもむろにランドセルを開けます。

そこにはランドセルいっぱいにたんぽぽが入っていました。

 兄は道に生えてたたんぽぽを母にプレゼントしようとしていたのです。勉強道具の教科書よりも母にあげるたんぽぽの方が当時の兄にとって大切だったのでしょう。今になってその当時の事を兄に聞くと、全く覚えていないそうです。


仏教では見返りを求めず、相手に物を与えたり、親切な行いをすることを「布施」と言います。純粋に相手のことを思い行う布施というのは、案外覚えていないものかも知れません。



菊地志門

(2018/6/30の駒沢坐禅教室より)

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