アメリカ人禅僧の宗純師
- Shojin-Project
- 2022年7月22日
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更新日:2023年6月23日
道元禅師は中国に渡り、天童如浄禅師に師事して正伝の仏法を受け継ぎました。お釈迦様から代々に相続されてきた教えを日本に伝えて、孤雲懐奘(こうんえじょう)禅師、徹通義介(てっつうぎかい)禅師、そして瑩山紹瑾(けいざんじょうきん)禅師は幅広く全国に布教活動を務めていました。700年を経て日本のみならず、多くの方々の努力のおかげで曹洞宗の教えは多数の国々にも伝わり、海外開教の運動により、多くの人々に安穏な生き方に導くことができました。
さて、今回の「禅僧紹介」では、海外で活動していた僧侶、鈴木俊隆(しゅんりゅう)老師の下で参禅していたアメリカ人禅僧のHakuryu Sojun Mel Weitsman(宗純老師)について紹介したいと思います。
宗純老師は1929年、南カリフォルニアに生まれ、若い頃より宗教に興味を持っていましたが禅宗に入門する前に様々な職業に携わっていました。タクシー運転手、抽象画家や教師などを経験した後、1964年に初めて坐禅会に参加して鈴木俊隆老師に出会います。参禅の道に憧れていた宗純老師は、1967年に鈴木老師の指示に従いバークレー禅センターを開き、誰もが日常的に坐禅をできるような環境を整えました。日々の参禅を続けていた宗純老師は、その2年後に鈴木老師より得度という出家のための儀式を受け、曹洞宗の僧侶となります。

1971年に恩師である鈴木老師は死去されますが、1984年に老師の息子で弟子である鈴木包一(ほういつ)老師より伝法を受けて一人前の僧侶となります。正式な僧侶として活動し続けていた宗純老師は、1985年にバークレー禅センターの住職に任命されます。また1988年には、Tenshin Reb Anderson(天眞)老師と共同でサンフランシスコ禅センターの住職を務められました。
優しい方であり、宗純老師は「誰でも事務室を訪ねてもいいですよ」とお弟子さんたちに声をかけて、親しく対応していた方でした。鈴木俊隆老師だけではなく、片桐大忍老師や乙川弘文老師などの北米で尊敬されていた指導者たちの下で熱心に参禅していました。2021年1月7日に20人以上の弟子を残してご遷化されました。
宗純老師は多くの活動の中で「Branching Streams Flow in the Darkness: Zen Talks on the Sandokai」(闇の中に枝分かれした流れがある。参同契についての禅語録)という鈴木老師の提唱録作成にも協力し、恩師より受け継がれた教えを次世代に相続して北米における曹洞宗の歴史の中で尊敬されている僧となりました。
フェルナンデス浄賢
合掌
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