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ボランティアに生きた僧侶 有馬実成

更新日:2023年6月23日

今回は「公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)」設立の中心となった有馬実成(ありまじつじょう)師をご紹介します。有馬師はタイの難民キャンプを訪れたとき、その惨状に衝撃を受けて、アジアの教育支援に取り組み続けた僧侶です。

有馬師は1936年に、山口県周南市にある曹洞宗原江寺(げんこうじ)に生まれました。有馬師の父親で原江寺住職であった有馬正隆(しょうりゅう)師は、中国に出征し、1年後に上海の病院でマラリア腸炎によって亡くなりました。有馬師は幼いながらに、「この寺を継ぎたい」と申し出て、仏門へと歩み始めました。



冒頭で触れた「タイの難民キャンプでの活動」が、有馬師の人生を大きく変えました。現地では飢餓に苦しんでいるにも関わらず、難民の方々は有馬師のためにミルクを差し出したといいます。これが後に有馬師のボランティア像を形成していくことになります。



1980年には「曹洞宗東南アジア難民救済会議(JSRC)」が正式に発足し、曹洞宗全体で支援態勢を整えていきます。また、現地の子どもたちと触れ合う中で教育支援の必要性を感じ、移動図書館活動を開始しました。その後、有馬師の働きかけで「曹洞宗ボランティア会(SVA)」が発足し、難民キャンプの支援を中心としていた活動から、難民の自立を目指すという活動へと展開していきました。


「ボランティアとは相手と共に生き、共に学ぶ存在だ」というのが、有馬師のボランティア像です。私はこれまで、ボランティアというと「支援する・与える」ことだと思っていました。しかし、ボランティア活動を行う中で、自分自身も教えられることが多くあるという考えは、多くの人にとっても新鮮な気づきとなるのではないでしょうか。ボランティアにおいて相手のことを本当に大切に思うのであれば、自分本位な考えを捨てなければなりません。


「曹洞宗ボランティア会」は、1999年に現在の「公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)」に名称が変わりました。有馬師が2000年に亡くなられた後も、思いを引き継ぐSVAはアジアの教育・文化支援事業をはじめ、日本を含むアジア各地で災害救援事業など幅広く活動しています。


吉長洸大



参考文献:大菅俊幸著『泥の菩薩 NGOに生きた仏教者、有馬実成』


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