何もやらなくていい
- Shojin-Project
- 2022年4月8日
- 読了時間: 2分
坐禅を始める時「どんな心境で坐ればいいのか」という疑問を持っている人が、とても多いように思います。最初は私もそうでした。実は今でも頭で理解しようとすると、その度にこの疑問に対する答えから離れてしまうように感じます。
初心者向けの坐禅指導では、「心の中に浮かんでくる考えや思慮などを追いかけようとしない」や「雲のように、現れたり去ったりする想いを掴もうとしない」などともよく言われますが、具体的にどういうことでしょうか。
私の母国のブラジルで農家をやっている知り合いがいますが、先日彼がSNSに福岡正信(ふくおかまさのぶ)さんの動画を共有してくれました。ただの農法の話かと思っていたら、実際に見てみると「坐禅と同じじゃないか」と思いました。
愛媛県出身の福岡正信さんは若い頃に横浜税関の植物検査課に所属し、研究に没頭していました。しかし二十五歳の春に急性肺炎にかかり、一時期死に直面します。病気を乗り越えた後に「この世に何もない」と気がつき、仕事をやめて地元に戻ります。そこから自然農法を提唱し、大自然に沿った生き方を送るようになりました。
福岡さんの自然農法は「何もやらなくてもいい」ということを目指す農法です。彼の言葉に置き換えると「耕さない、雑草を敵としない、農薬も化学肥料も与えない」。いわゆる、この大自然をコントロールしようとしないということだけなのです。
これは坐禅の心と同じだ!と思い驚きました。
我々は日常生活の中で、知識によって心と頭の中のものを自分で作った型に無理やり当てはめようとし続けています。あるいは、コントロールしようとする。すると、坐禅中もまた、心の中に浮かんでくるものを自分勝手にコントロールしようとします。
福岡さんの自然農法は科学肥料や技術などを使わず、大自然の流れに帰ることだけなのです。「何もやらなくていい」。我々の坐禅も同じです。心の中に浮いてくるものを敵とせず、コントロールするというその気持ちを手放して、足を組んで、ただ坐るだけです。
ただただ坐ると、本来誰もが持っている静かな心に帰ることができます。静かに坐り、深呼吸するだけです。皆さんも「やらなくていい」坐禅、やってみませんか?
フェルナンデス浄賢
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