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子どもたちの輝き

大人になって、

気がつけば世界がつまらなくなっていた。

園庭を駆け回る園児たちを見てはっとする。

その目には、

もう今の私にはない輝きに満ち溢れていた。


      

                           


私たちShojin-Projectは、

9月にいくつかのこども園を訪れて

オリジナルの演劇を上演しました。

今年のテーマは「食育」で、

食材のいのちと、食事を支えてくれる人びとへの

感謝の気持ちを持ってもらうために

「いただきます」の意味を伝える劇を作りました。

 

実際に上演してみると、

子どもたちのエネルギーに圧倒されます。

舞台上の出来事に全神経を注ぎ、

一生懸命反応を示してくれます。

目の前のことに夢中だからこそ

生まれる素直さと力強さ。

そのキラキラした目に助けられて

練習以上の演技が引き出されることもあります。

面白いことに、同じ劇を上演しているはずなのに、

子どもたちの不思議な力が加わって

公演ごとに違った色が現れたのでした。

 

劇が終わり、一緒に遊ぶ時間になると

園児たちは小さな身体を懸命に動かします。

転ぶこともいとわず、全速力で走り回り、

今を全身全霊で楽しんでいます。

その姿はキラキラと、

生命力にみなぎっていたのです。


 

それに比べて自分はどうでしょう。

もう何年も、

純粋に遊びを楽しめていない気がします。

やっても「意味」がない遊びをすることが

時間の無駄だと感じ、苦痛に思うことさえあります。


では、その「意味」とは一体何でしょうか。

それは、自分にとって役に立つかどうか、

自分の未来をよりよくしてくれるかどうかです。


いつしか優先される行動は、

よりよい未来を手にするための

手段になってしまっていたのでした。


「今」をよりよい未来のための

「手段」として過ごす大人の私と、

「今」を楽しむことを

「目的」として生きる子どもたち。


大人にはない子どもたちの輝きの正体は

ここにあるのかもしれません。

 

 

福井県にある曹洞宗の大本山永平寺を開かれた道元禅師は、

「修行とは悟りを得るための手段などではなく、

修行すること自体が目的であり、

懸命に修行に取り組む姿の中に

悟りが立ち現れてくる。」

と示されています。


ただ目の前だけを見つめ、

今を全力で遊ぶ子どもたちの姿は

ひたすらに輝いていて、

満ち足りているように見えました。


何かのためではなく、

目の前の今と真摯に向き合い、精一杯生きること。

そんな姿勢が、私たちを

安心に導いてくれるのではないでしょうか。



渡邉泰成

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